猫回 終章 ~旅立ちの季節~
ふむ…春を迎え、そろそろ良い頃合で御座ろう。
拙者、約束通り旅に出ようと思うで御座る。
家人は本当に良くしてくれたで御座るが、拙者、同じ所に長く留まるは出来ぬ性分。
まだ見ぬ地への思いが抑え切れんで御座る。
家人よ、本当に世話になった。
…?何、心配には及ばぬ。離れておっても拙者は侍。何事かあれば必ずやこの刀で悪を斬る為、馳せ参じようでは御座らんか。
ほれ、そんな顔をするでない。
いつか又再会する時が来よう。その時まで地に足を付けて生きてゆくで御座るぞ。
それでは行くとしよう。
聞けば「虹の橋」という土地が彼方にはあるという…
そこは楽園のような場所だと言うが…
どれ、この目でしかと見届けようというものだ。
では参る。
皆の者、今日までご苦労で御座った!
それでは、また会う日までさらばだ。
完