猫回① 猫武者の一日
…主君に仕えるようになって十数年。
外の世界にはまだまだ拙者の助けを必要とする者が居るやもしれぬ。
拙者、世直しの旅に出ようかと思うでござる。
そうと決まればこうしてはおれぬ。
か弱き者を守る為、両手脚の刀を研ぐ必要がござろう。
思えば色々とあったでござるなあ…
主君よ、拙者のしばしの不在を許されよ
それではいざゆかん、未踏の地へ。
まだ見ぬ拙者を必要とする者の元へ…!
…だが気づけばもう夕刻でござった…
夜の長旅は危険。それに今日の夕餉は御肉やもしれぬ…。
…旅は明日からでも遅くは無い。否、春からでも遅くはないでござろう…